何気ない作業「拭く」について深堀りする

何気ない作業「拭く」について深堀りする

技職人魂シリーズ開発者_山口

もくじ

拭く」作業は仕上げ作業に近い位置づけ

「拭く」という行為はどんな行為か?

みなさん、「拭く」という作業はお掃除の一貫の全般に位置づけしてませんか?
拭いて汚れを落とす…
実はそうではありません。ずばりいうと、
汚れの移動です。

実は、拭く前までに汚れ落としの作業は終了していて、汚水の回収。つまり、
対象物から汚れを雑巾に移動させる行為が「拭く」なのです。

汚水の移動

汚水は、対象物から「雑巾やウエスの保水量に比例して移動」します。
つまり、水いっぱいのバケツに雑巾やウエスを何枚も突っ込んで、水がでなくなる雑巾やウエス量を割り返したものが一枚あたりの保水量になります。
あまり掃除を経験されてない方ほど、何回も拭いてかえって汚してしまったりします。熟練工ほど「一回で同一方向にウエス(もしくは吸水物)を動かします」

給水量を最適化する

乾いたタオルに、水滴を垂らしてみてください。
おそらく弾くこともあります。
マイクロファイバーやコストコタオルのように接触角(水滴と平面の角度)が大きいものの方が弾いてしまいます。

蓮の葉をご存知でしょうか?
接触角が大きく、水を玉にして弾きます。
これと同じことが雑巾やウエス上でも起こっています。

濡らしたタオルのデメリット

逆に濡らしたタオルに水滴を垂らしてみてください。
見事吸収します。濡れたもの同士、親水するので当たり前です。
触覚角もなにもありません。

しかし、濡らしたタオルはデメリットがあります。
1,吸水量が下がる。
 当然ですよね。
濡らして人間の力で絞った雑巾やウエスなんてたかがしれてます。
2,拭きムラが残る。
 濡れたものを対象物に貼り付けるわけですから、雑巾やウエスの
水分も対象物に移って当然です。水分の移動です。

では、どうやって拭いたら理想に近づけるか・・・
拭いても拭き跡にならずに、効率よく汚水を回収する術。
それはズバリ「ハーフウエット状態」です。

ハーフウエット状態の便利な点

ハーフウエット状態とは

この状態は濡らして、脱水機に90秒かけた状態です。
普段業務でお掃除をされている人ならば、洗濯機で洗ってわざわざ干す必要はありません。そのままで良いです。
まさか、現場で絞ってそれを干して使いまわししている方はプロの中ではほぼいないと思いますが、ハーフウエット状態の良さを説明します。

利点① 程よい親水性

ハーフウエットの状態は撥水効果を生みません。接触角がないのですぐに馴染みます。また、人間の力で絞ったものとは比べ物にならないくらい極端に絞られているので乾いた状態と濡れた状態の両方の利点を持っています。

利点② 拭きムラが残らない

ハーフウエットなので、程よい保水加減を持っています。
汚れを絡め取り、除去すにも適していますし、汚れの移動もスムーズに行えます。
硝子職人とハーフウエットタオルのコンビはもはや無双とも言えます。

利点③ 楽。ほんと楽。

私は現場で雑巾やウエスを絞ることはほとんどありません。
清掃で一番多い作業は「拭く」という作業。60%を占めしている友いわれます。
それを毎度絞っていたらそれだけで握力を失います。
絞った雑巾やタオルは汚水をばらまき、厄介なモノへと化します。

もちろん、濡れ濡れの雑巾やウエスで洗剤と汚れをすべて拭い、擬似的な洗浄を作り出すことはあっても、絞りません。極めて無駄な行為です。

ではどのようにしているか。それは、吸水目的でたくさんのウエスを所有します。

現場で活躍する無数のウエス

私は、平均して300枚〜500枚のハーフウエットタオルを用意します。
それをビニールで乾かないようにして、使います。

基本は一方向一度拭き

ハーフウエットウエスは、基本一度だけ一方向にしか使用しません。
新しい面を使い終えたらすぐに別のビニール袋に入れて二度と使いません。
いえ、使う時がありました。何かをこぼしたときです。
水道のカプラーが外れたり、予期せぬ水量を回収しなければならなくなったら溜まっているウエスたちをぶちまけます。
余分な水分はPVAのスポンジモップで回収します。

洗う時は1度で便利

汚水を回収したウエスは、現場終わりに洗って乾燥せずにビニール袋に入れます。
それを、毎朝現場で畳んでウエスの山を作りながら段取りの打ち合わせをします。
それからスタート。これが弊社の恒例です。
なので、予備ハーフウエットタオルも準備されています。
1Rを一日5件で400枚ぐらい使うイメージで用意しています。

唯一のデメリット

そんな、ハーフウエットタオルも一つだけでメリットがあります。
それは「連休後にカビ臭い」です。

ハーフウエットでも濡れています。
なので、長期休業にはいるとそのままです。カビ臭くなります。
いまは、除菌効果の高い「ランドリー職人ジュガール」があるので、普通の洗濯洗剤に混ぜているのでかなり軽減しましたが、やはりたまに使用していないとカビくさくなります。

最後に

この方法はイニシャルコストはかかりますが、それ以上の7割ぐらいを占める人件費の削減になるのでぜひ参考にしていただきたいと思います。
もっともポピュラーな方法なのですが知らない企業様もいますので老婆心ながら書き留めておきます。

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